TV 着ながし奉行
 
81/5/1(金)夜8時 フジテレビ系放映
91分(カラー)制作・俳優座放送協会、映像京都、フジテレビ
 
出演
仲代達矢・・・望月小平太
中谷一郎
岸田森
近藤洋介
浅茅陽子
神崎愛
小沢栄太郎
殿山泰司 ほか
 
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 江戸から新しい奉行として丹後田辺藩にやってきた望月小平太(仲代達矢)は、奉行所には一度も顔を出さず、周囲の人間は困惑。奉行という役職にいながら、名うての遊び人で“濠外(ほりそと)”という歓楽街に入りびたり。だが、この小平太、実は濠外にはびこる腐敗を正す使命を帯びていたのだった…。(←あらすじは時代劇専門チャンネルサイトからパクリ)
 四騎の会(黒澤明・木下恵介・市川崑・小林正樹)第一回作品として共同執筆されながらお蔵入り、後に市川崑が監督した『どら平太』と同じ原作=山本周五郎の「町奉行日記」。それ以前に勝新太郎が望月小平太を演じた三隅研次監督『町奉行日記 鉄火牡丹』ってのがあるらしいけどね(未見)。

 ペペチー能書き

 正直言うと、「見よう」と思って見たわけではなく、なんとなくテレビを付けたら丁度始まるところで、体調不良のためイマイチ楽しめずに辛い採点になってしまった。しかし、何の先入観もなく見始めたにも関わらず、一目で“岡本喜八”だと分かるのである。もちろん配役もある。天本英世に岸田森だし(笑)。
 「フォービートのアルチザン」の中で宇田川幸洋も語っているが、岡本喜八の特徴の一つに「一人称ナレーション」がある。
 普通(特にテレビドラマに多い)、ナレーションは、観客(視聴者)に状態を分かりやすくするための「第三者」視点の場合が多い。それは物語を一歩引いて語る客観的・中立の視点であり、神の視点でもある。ところが岡本喜八のナレーションは、主人公自身の声であったり、主人公に寄り添った(自身を投影させた)監督の声であったりする。主観的な「一人称ナレーション」こそ、喜八作品のコメディー要素の一つであり、親近感がわく一つの理由なのではなかろうか。
 何故四騎の会がこの原作に目をつけたか分からないが、「人知れず暗躍するヒーロー」はむしろ喜八向き。こんな中途半端なドラマでなく、映画で作って欲しかった。

2005年7月17日鑑賞(於:時代劇専門チャンネル)★3
(参考・引用) kihachi フォービートのアルチザン(東宝出版事業室・刊)
映画監督によるテレビ作品の記録
  時代劇専門チャンネル