正直言うと、「見よう」と思って見たわけではなく、なんとなくテレビを付けたら丁度始まるところで、体調不良のためイマイチ楽しめずに辛い採点になってしまった。しかし、何の先入観もなく見始めたにも関わらず、一目で“岡本喜八”だと分かるのである。もちろん配役もある。天本英世に岸田森だし(笑)。
「フォービートのアルチザン」の中で宇田川幸洋も語っているが、岡本喜八の特徴の一つに「一人称ナレーション」がある。 普通(特にテレビドラマに多い)、ナレーションは、観客(視聴者)に状態を分かりやすくするための「第三者」視点の場合が多い。それは物語を一歩引いて語る客観的・中立の視点であり、神の視点でもある。ところが岡本喜八のナレーションは、主人公自身の声であったり、主人公に寄り添った(自身を投影させた)監督の声であったりする。主観的な「一人称ナレーション」こそ、喜八作品のコメディー要素の一つであり、親近感がわく一つの理由なのではなかろうか。 何故四騎の会がこの原作に目をつけたか分からないが、「人知れず暗躍するヒーロー」はむしろ喜八向き。こんな中途半端なドラマでなく、映画で作って欲しかった。
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