宝田明、司葉子を配したサラリーマンコメディー。カメラ会社の社員・吉本(宝田明)は、「出世計算機」の異名を持つほど出世のためなら手段を選ばない。上司の息子の裏口入学を斡旋して出世したりとか・・・。そして、商談のために来日した石油王国の富豪ホセ・ダゴン(ジェリー伊藤)との契約をライバル社から奪うべく策略を練る。なじみのホステス・和子(司葉子)に色仕掛けをさせて狙い通りダゴンに気に入られるが、和子と吉本もいい仲になりかけた矢先、ダゴンが和子を国に連れ帰ると言い出して・・・。
後に岡本喜八自身が「『ニッポン無責任男』と設定も脚本家も同じだということに気付かなかった。これはないだろうと思ったけど後の祭。こういうのは困る。」と語っている通りのずさんな企画物で、内容的に見るべき価値は“ジェリー伊藤の怪演”くらいしかない。実際、当時の批評もジェリー伊藤の怪演に触れているものが多かったという。
ただ、岡本喜八のフィルモグラフィー的には重要なポイントがある。 当時のプレスシートによれば、「岡本喜八監督作品であることを全面に押し出す」「内容よりも“喜八タッチなドライ喜劇”を売りにする」とあったそうで、「岡本喜八」の名が世間に浸透してきたことをうかがわせる。
|