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京都国際科学会議において、UFO及び宇宙人の存在の有無について演説した兵藤教授は、宿泊先のホテルで数名の外国人に連れ去られ失踪する。その失踪事件を内密に調査する命を受けた日本国営放送(JBC)の南は、友人の週刊誌記者木所から、恋人である新人女優・高松夕子の血が青いことを告白される・・・。
サブタイトルに“Blood Type:BLUE”とあるが、アメリカでは“Blue Christmas”で公開されたという。また、「ダイナマイトどんどん」より公開が後だが、制作は本作が先である。
シナリオを一字一句変えちゃ困るという倉本聰の注文下、監督は「シナリオに4箇所不要なところがある」と判断。撮るだけ撮って「長いから切る」という大技に出たそうだ。カットしたシーンは約40分とか。 |
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ペペチー能書き |
実に世評は低い。公開当時も相当悪かったようだ。後年、再評価の声もあるが、相変わらず酷評する声も多い。アイディア的には、スピルバーグが筆を入れる以前の『未知との遭遇』(1977年)に酷似したポリティカル・サスペンス。後にスピルバーグが撮る『シンドラーのリスト』よりも「根拠のない迫害」の恐怖が上手く描かれていると思うのだが、いかんせん公開は『未知との遭遇』の翌年、少なくとも世間のニーズはなかったのだろう。私はその世評をモロに信じて今日に至るまで観ていなかったのだが、観てみれば大変好きな作品である。『金環蝕』的なサスペンスと『ガス人間第一号』的なロマンが混在していると思うのだ。コミカルな喜八作品のファンは多いが、ハードな喜八作品も実に優れている。
喜八作品の中では、東宝から独立した「晩年期」(でも54歳)に当たり、少しずつ「戦争体験」から離れていく時期でもある。これは時代背景もあったろう。しかし、差別や迫害の描写には「戦争の影」を匂わせ、「あの戦争を忘れるな」というメッセージが込められているとも読み取れる。
前年の『姿三四郎』の三浦友和といい、本作の勝野洋といい、主演俳優は岡本喜八好みではないと思う。勝手な推測だが、独立プロの経営も思わしくなく、(当時としては)集客力がある(と思われた)俳優を主演に据えることになったのではないだろうか。 |
2005年3月27日鑑賞(CS録画)★5 |
(参考・引用) |
kihachi フォービートのアルチザン(東宝出版事業室・刊) |
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