1958年作品 結婚のすべて
   All About Marriage
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封切1958年5月26日〜6月1日
85分(白黒・スタンダード)東宝
併映『太鼓たたいて笛吹いて』(監督:杉江敏男)

興行成績 4300万円(170円)
「キネマ旬報」58年度第32位
NHK映画賞58年度新人監督賞
 
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現代的跳ねっ返り娘・康子、その姉・啓子は対照的に典型的な“貞淑な妻”。そんな見合い結婚の姉の退屈な結婚生活を非難し、熱く燃えるような恋に焦がれる康子。その姿に少しずつ刺激され世間に触れ始める姉・啓子。一方康子も姉が理想的な夫婦であることに気付き・・・。「セックスの洪水時代」と言われ始めた当時、現代的な恋愛を取り上げた恋愛喜劇。
「ロカビリー映画第一号!」などとキャッチコピーをつけられているが、別にそんな映画ではない。たしかにそういうシーンはあるが、単に当時の風俗切り取りの一端にすぎない。
コンテ推考期間が一ヶ月あり、この時以来コンテ主義。撮影実数は三十数日。カット数は千近くにのぼるという。
助監督時代の人気から、三船敏郎、司葉子、田崎潤、田中春男、平田昭彦らがノークレジットで友情出演。後の常連組も多数出演。佐藤允はワンカット、小林桂樹はナレーション、仲代達矢は最後に。
岡本喜八はスタンダードサイズ好みだそうだが、時代はシネスコ全盛に。この映画を最後にスタンダードは『肉弾』までない。

 ペペチー能書き
この時代の“初監督作品”というと、後に開花する監督の特徴がわずかながら垣間見られたりするのが相場であり、それが嬉しいものだったりするのだが、本作は違う。「後に開花する特徴」なんかではなく、既に喜八スタイルがほぼ確立されていると言ってよい。
これはコメディーであることを除けば、「青春映画」「女性映画」というジャンルだと思う。小津や成瀬向きの“しっとりした話”になってもおかしくない題材だ。
監督自身「自分ではアクションが向いていると思う」「タイトルを見てコリャいかんと思った」と語っている通り、元来得てなジャンルではないはずだ。だが、「(当時の)現代風俗切り取り映画」にシフトすることで、いかんなく“喜八節”を発揮。冒頭からものすごい勢いで押しまくる。(当時は「目まぐるしくてついていけない」という評価もあったようだが)。
当時の評では「若さ」の一言で片付けられていることが散見されるが、今となってはそれが彼の特徴だったのである。仮にこの「若さ評」を受け入れるとして、今、驚愕すべきことは、岡本喜八がその「若さ」を生涯持ち続けたことにあるだろう。
2005年5月14日鑑賞(CS録画)★4
(参考・引用) kihachi フォービートのアルチザン(東宝出版事業室・刊)