2003年6月7日(土)のひとりごと 「最も危険な遊戯」
薬屋に急いで買いに行かなきゃいけない物って何ですかね?
先週の土曜、東京は台風が近づいているとかでドシャ降り。
仕事帰りの私の横を、狭い道なのにスピードを出して通り抜ける車。
やがて停車し(狭い道なのに)、車から降りるやいなや、傘もささずにサンダル履きで薬屋にダッシュする男。
歳の頃なら、そうさなあ、20歳代半ばといったところでしょうか。若者なんだけど学生って感じでもなかった。
若い男が、大雨の中、大慌てで薬屋へ何を買いにいくのか?
真っ先に考えついたのがトイレットペーパー。
便意をもよおしたものの「紙がない!」もう漏れそうだ!
これは大慌てで買いに走るでしょう。
でも冷静に考えれば、ティッシュペーパーでも新聞紙でも代用品が見つかりそう。
そこで次に思いついたのがコンドーム。
台風だし今日は出かけないでビデオでも観よう、なんて部屋に彼女を招いた。
最初は真面目にビデオを観てたんだけど、次第にイチャイチャしはじめてもよおしてしまう。
いよいよ盛り上がって「さあ!」って時に彼女からストップがかかる。
「ナマはダメ」
これは大慌てで買いに走るでしょう。
冷静に考えても代用品なんて見つからない。
「大丈夫、外に出すから」
全然大丈夫じゃない。最も危険。
イヤイヤする彼女に「ちょっと待ってて」ってんで、傘も持たずにサンダルつっかけて家を飛び出し車を飛ばす。
ね、ありそうでしょ?
ところがですね、
何度も言ってますが、大雨の中、傘もささずにサンダル履きでダッシュなんです。
スッ転びました。
私は目撃者です。転びましたよー、見事に。
マンガだったら、「スッテーン!」って大きな書き文字が入るくらい。
多分、この瞬間足首をひねったんでしょうな。
しばらくうずくまってました。
普段の私ならここで助けるのですが(紳士ですから)、この日は大雨で自分も大変だったし、
この天候の中サンダル履きなんて自業自得なわけだし、
それにコンドーム買いに来てるわけですから。
(それに彼と私の間にはまだだいぶ距離があった)
私が近づく頃に、彼はやっと立ち上がり、ヨロヨロと片足を引きずりながら薬屋へ向かいました。
いやー、よかったですよ薬屋で。すぐに湿布買えますからね。
その後彼がどうしたか分かりませんが、一つ確実に言えるのは
間違いなく店員に驚かれただろう、ということです。
なにしろズブ濡れの男が苦しげに足を引きずりながら店に入って来たわけですから。
「なんだなんだ!?」「ヤクザの出入りか!?」「脱走兵か!?」ってなもんです。
まさかコンドーム買いに来た客だとは思いませんから。
どんな男か顔は見ませんでしたが、松田優作みたいな男だったらかなり絵になります。
ズブ濡れで苦しげな松田優作がふらーっと入って来るんですよ。カッコイイでしょう?
まさかコンドーム買いに来たとは誰も思いませんから。
「お客さん、どうしました!」
「湿布ください。それと・・・コンドームを」
その身体でがんばるのかいっ!
まさか道で転んだだけでここまで書かれているとは、誰も思わないでしょう。気の毒に。