2003年3月8日(土)のひとりごと 「馬」


私とネクタイ関係にある先輩の持ち馬が1着になったそうだ。先週土曜日の話。
持ち馬といってもいわゆる一口馬主で、100分の1だか200分の1だかしか権利を所有していない。

この先輩というのが、四十代半ばになっても未だ彼女もおらず風采はあがらないわ活舌(かつぜつ)は悪いわ仕事の段取りも悪いわで、「貢ぐ女もいないもんだから馬に貢いでるのだ」と10歳も年下の私に罵られているような人なのだが、ハッキリ言って持ち馬が勝ったというのはうらやましい。
例えそれが尻尾の先ほどの権利しかなくともうらやましい。
賞金が600万円でそのうち馬主に入ってくるのが何十%かでその100分の1か200分の1で結局寿司屋で祝杯でもあげたら消えてしまうような金額しか手元に入らなくともうらやましい。

まがりなりにも中央競馬(JRA)中山競馬場新馬戦(デビュー戦)での勝利。
競馬が分からん人には全く分からんでしょうが、デビュー勝ちというのはなかなかすごいことなのです。
毎年生まれる競走馬は1万頭近く。ほとんどの馬は未勝利戦に何度も出場してやっと1勝できるかどうか。勝てないまま地方競馬や乗馬に引き取られる馬も多い。それどころかデビューできない馬もたくさんいる。
良血馬や素質を見込まれた高額な馬こそ金持ちが買い取ってしまうもので、一口馬主(共同出資)に回される馬なんて見込み薄(と一般的に見られている)。それがデビュー勝ちするなんてなあ。

とにかく勝てなければ始まらない。1勝すれば道は開ける。

今ならダービーに間に合う!
(←競馬が分かる人だけ笑ってください)

ちなみに中山ダート1200m、タイム1.15.0、上がり3ハロン39.3。遅っ!(←競馬が分かる人だけ笑ってください)


G1程度しかやらない私がこんなことを言うとけにろん師匠に鼻で笑われるだろうが、私は競馬好きである。
競馬好きにもいろいろあり、ギャンブル好きもいれば、純粋な馬好きもいる。(伊藤雄之助や阿部寛といった馬面好きもいる。)

競馬そのものが大好きな知人がいる。
たまに「このレースはどうですか?」などと水を向けると熱く語り始めて止まらない。
しまいには「このレースは第3コーナーの位置取りが問題なんです」などと言い出す始末。
そんなこと言われても俺が走るわけじゃないからさあ。

また別の知人はその予想が全く当たらないことで有名である(<どこで)。
基本的に穴党なので当たらないのも当然なのだが、たまに人気馬を狙うとその馬が負け、大波乱になったりする。
「こいつの狙った馬は買うな!」が我々の法則である。
その「外れの達人」もギャンブルから足を洗い、今ではすっかりダンスにはまっている。
たまに会うとサルサについて熱く語られたりする。何故ダンスなのだ !?

余談だが、以前、初心者と競馬を見たことがあり、アレコレと教え「分からないことがあったら何でも聞いてくれ」と言ったところ
「どの馬が勝つんですか?」と聞かれたことがある。
それがわかんないから苦労してるんだって。

かく言う私は推理好きなのである。
「競馬は予想ではなく推理だ」というのが私の持論である。
馬柱表(週末のスポーツ新聞に載ってる表ね)に必ず犯人の手がかりが残されている!
わずかな手がかりを見逃さず真犯人をつきとめる。それが競馬だ!

実は私がなりたかった職業は名探偵。ただの探偵ではない。名探偵
小学校の図書館で読みふけった江戸川乱歩。怪盗ルパンシリーズも揃っていたが、その頃から既に和物好きだったらしい。
今では地を這うように地道に捜査する刑事も好きだが(『砂の器』『天国と地獄』等)、やはり基本は安楽椅子型探偵
だってイスに座っているだけでいいんだぜ(<そうじゃない)。

しかし今考えると、明智小五郎は変装したり替え玉使ったり(奥さんの替え玉もいた)けっこう姑息な手段を使っていたな。
おまけに労働基準法に引っかかるくらい少年をコキ使ってるし。

そんな私の推理欲を満たしてくれるのが「競馬」。
一時期、ゲームでその欲求を満たそうとした時もあったが、あれはほとんど単なる宝探しだから。
ポートピア殺人事件(ファミコンの初期のゲームね)なんて、なにしろまだセーブできない時代だったからひたすら体力勝負。俺は安楽椅子探偵だっての。
ミシシッピ殺人事件ってのもあって、調べようと部屋に入るとナイフが飛んできてすぐ死んじゃうの。もう。

そんなこんなで、私は今年に入ってからある秘策を実行中である。
3連複という馬券(正式名称は勝馬投票券)購入方法なのだが、これを100円だけ買い「100円を1万円にする作戦」を行っている。
競馬に関する秘策は以前からいろいろ行っており「複勝ころがし作戦」「ワイド大作戦」など数々の作戦があった。

おそらくこれは1馬(だったかな?)という競馬新聞のスカイブルー大作戦の影響だ。
初めて見た時「なんだよスカイブルーって」「しかも大作戦だよ、おい」と思ったものだ。

なかなか日常生活に於いて大作戦に出会えることはない。

まあ、そんなこんなでいろいろチャレンジするも過去数々の私の作戦は全て失敗に終わっている
「100円を1万円にする作戦」という名前が長い上に語呂の悪い今回の作戦も、一度も当たらないまま、まもなく投資額が1万円を超えてしまいそうだ。



俺は本当に名探偵にならなくてよかったと思う。



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