2003年9月23日(火)のひとりごと 「鉄の男」



先日、職場の慰安会というか食事会がありまして、ちょうど昨年の今頃、小泉首相が訪朝したその歴史的な日にもたしか同じ会を催していて、その時は幹事話に終始したわけですが、今年は小泉首相が自民党総裁選を圧勝した前日に行われたわけです。
よくよくウチの飲み会は小泉首相と縁があるなと。いや、本当は全然関係ないんですけどね。

今年は幹事でも何でもなく、ただ間抜け面して飯食ってりゃいい気楽な立場で参加したのですが、お店が「和の鉄人 道場六三郎プロデュースの店」というふれこみだったわけです。

少なからず周囲には「道場六三郎の店だ」という期待感というか盛り上がりというか、いや、言うほど盛り上がってはいないんですけど、まあ、そういう雰囲気があったわけです。
で、私は散々それに水を差しまくったわけですよ。
「道場六三郎の店」じゃなくて「道場六三郎プロデュースの店」だと。
道場六三郎がいるわけじゃねぇんだよ、と
もうねぇヤマなんだよ、と
散々言ってたわけですよ。

何て言うのかな、そういう「わー!テレビに出てる有名人の店だー」みたいな愚民の発想が嫌いだという気持ちが65%。
残りの35%は私の優しさですね。
「何だよ、期待して行ったのに道場六三郎なんていねーじゃねーか。名前だけかよ」というガッカリ感を未然に防ごうという優しさ。
いやー、俺って優しいなあ。35%だけだけど。



ところがいたんですね、道場六三郎が。



いやがったんですよ。

ご丁寧にマイク持ってご挨拶までしてくれましたよ。

ぶち壊しですよ。俺の35%の優しさが台無しですよ。いやむしろ35%で済んでよかったってくらいの話ですよ。



で、座席はクジ引きで決めたのですが、私は一番前になってしまったのです。
披露宴で言えば新郎新婦の真正面、会社の部長さんとかがよく座る席。
つまり、至近距離でかぶりつきで道場六三郎と御対面することになったわけです。
しかし当然、料理を食べることを主眼としたテーブル席ですから、新郎新婦の真正面ということは背中を向けているわけです。
いくらなんでも「和の鉄人」と呼ばれた男が挨拶しているのに背を向けているわけにもいきませんし、私も見てみたいわけですから振り返ったわけですよ。

目が合っちゃいましてね

もうそれからは、ことあるごとに私に話しかけるようにお話しされるんですよ。

振り返ってる私はそれなりに無理な態勢になっているのですが、私に話しかけられているものを無下に背を向けるわけにもいかないじゃないですか。
周囲から見たら「何だあいつ。普段は人の話をロクに聞かないくせに、今日はやけに熱心に聞いてるじゃねーか」ってな状態になっちゃったわけです。
それにほら、ご承知の方もいらっしゃるかと思いますが、調子いいじゃないですか、私。
「なるほど〜」みたいな感じでうなずきながら話を聞いてたりするわけですよ。
だんだん彼もノッてきましてね、どんどん話が長くなってきたわけですよ。

しかも「私は料理のことしか分かりませんから、料理の話をします」なんて言いながら
本当に料理の話しかしないんです

「なるほど〜」みたいな感じでうなずきながら話を聞いていた私ですが、料理全然しませんから。
簡単な松茸ご飯の作り方とか、残った塩辛の再利用料理とか話されても全然覚えてないわけですよ。
興味ないわけですよ。
早くメシ食わせろってもんですよ。
ていうか、単に聞いてるフリです。

もはや彼は私に向かって話しかけ、
私も「メモ取りながら聞いた方がいいのかな」とか「このまま2時間半独演会が続いたらどうしようかな」とか考え、
鉄のように固まってしまったというお話し。


えーっと、お後がよろしいようで。






あ、料理はすごく美味しかったです。
いつも料理にケチつけるオバサンがいるのですが、今回ばかりはさすがに味にケチはつけられず、
「肉の切り方がダメだ」と海原雄山もビックリな斬新な視点で料理長に文句を言ってました。
ていうか、そんな無理してケチつけなくてもいいと思うんですけど。





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